陰陽師 |夢枕獏


陰陽師陰陽師
出演:
東宝
発売日 2002-05-21


???時は西暦794年、平安時代に突入したばかりの京の都。怨霊に取り憑かれた上官を救うべく、源博雅(伊藤英明)は陰陽師の阿倍晴明(野村萬斎)の元を訪れ、そこで運命的出会いを果たす。やがて、生まれたばかりの帝の子・敦平親王の身体に異変が起きるのだが…。
???夢枕漠の人気小説を映画化したヒット作。滝田洋二郎監督は、職人的手腕を発揮しながらこの伝奇エンタテインメントに取り組んでいるが、原作者じきじきの熱い指名によって映画初主演を遂げた若手実力派狂言師・野村萬斎の気品と貫禄みなぎる名演が、この作品の最大の魅力といっても過言ではないほどの圧倒的力をみせつける。悪役・道尊を熱演する真田広之との対決シーンの迫力も、このふたりの演技力あればこそだろう。(的田也寸志)

日本人の宗教観 2006-02-19
 日本人を理解することは、その沈黙のゆえにしばしば難しいといわれる。この作品はその日本人の思想を知る素材となる上で興味深い。日本人を知るには「甘えの構造」(弘文堂刊)を読めといわれる。しかしその他律的な日本人の思想は何に依拠するものか。国内に居るとあまり認識しにくいが、実は日本の神道思想のように土にも水にも神が宿るというような、多数神信仰を礼賛する宗教観は多数とはいえまい。しかし長い間日本人は、お正月を迎えると、玄関ばかりか手水や台所にも注連縄飾りを施してきた。この作品では平安の都に訪れる宮様の黒雲を死霊の怨霊と捉え、さまざまな病を陰陽道によって解決していこうとするものである。そしてその陰陽道は、自然の小道具を用いて解決される。わたしはこの思想の背後に、神仏が森や泉にも宿るという日本人の宗教観を背景として感ずるし、他律的で自然に依拠する社会交渉の仕方の思想的裏づけを観るような気がする。この思想はアジアの農耕民族に受け入れられやすいものであったのだろう。人魚の死肉を食べて不老不死の命を得るという逸話は古典的なものであるが、なぜ人魚の肉を食べて永久の命を得るのかといった点もこうした宗教観が暗黙の前提とされているとしなければ理解しがたい。この作品はヒットしたように思う。ちなみにわたしは二回見た。意外にもリズム感のある展開で居眠りせずに見られる。和製ハリー・ポッター、ガンダルフホワイトといったところか。対決とは異なる結末にも日本人の自然信仰を感じることができよう。




もっと詳しい情報はこちら!