薄紫のウィークエンド |赤川 次郎


薄紫のウィークエンド
赤川 次郎
光文社 刊
発売日 1991-09



騙す方、騙される方 2006-03-15
本書のタイトルについて、巻末の解説で作家の金春智子氏が「薄紫」は大人の世界を暗示しているものだろうと推測しておられる。私は違う意見を持っている。例のパーティはウィークエンドに行われていた。その会場の一つの部屋にはマリファナに興じる男女がいるのを爽香らは目撃し、不快感を顕わにする。薄紫というのはこの部屋の空気の淀みの事を直接的に表しているに過ぎない様に感じる。爽香にとっての大人の世界云々と言っても、爽香は既に大人以上なのだから。



騙される側の人間である酒井はその人の良さ故にあまりに不遇だ。どんな風に騙されているのかが、本書の途中まで読んだ時点で朧気に浮かび上がってくる。そして「またしても」あわや殺されそうになる爽香は、極限の状況の中で酒井の不遇さを瞬時に見抜く。爽香の度胸と聡明さには驚かされる。



今巻もスリルのある展開だが、読後感はあまり爽やかではない。それは優れたミステリー作品である事をも意味する。


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