象牙色のクローゼット |赤川 次郎


象牙色のクローゼット
赤川 次郎
光文社 刊
発売日 1994-09



貞操の危機 2006-03-19
今巻全体を支配しているテーマは「性」だ。今巻では「珍しく」爽香が命を狙われる事は無いが、爽香に貞操の危機が降りかかる。それに対して、今巻の準主役的役割を果たす由季が大胆な気転を演じる。若者の様々な性の形が溌剌と描かれている。それが陰気な雰囲気にならないのは、著者の持ち味でもある。



それにしても恐ろしい連続殺人犯が描かれている。タイトルの「象牙色のクローゼット」は彼の心の歪みの象徴の様だ。ただ、これだけの恐ろしい犯行を繰り返す動機に結び付くに足る犯人の背景描写が少し弱い。犯人が河村刑事に目を付けられるのも、彼の鋭い勘のみによっている点は、推理面では少し物足りない。ただ、由季は最初から犯人を推定しており、その揺れ動く心理描写が繊細で面白い。



今巻もなかなかスリリングな展開だ。


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