暗黒のスタートライン
赤川 次郎
光文社 刊
発売日 1996-09
明男が容疑者に 2006-03-23
今巻は他の爽香シリーズとかなり趣が異なる。これまでのシリーズの他作品では、それぞれ家族とか性の問題などの何らかのテーマが設定されていて、本来の推理小説と趣を異にしていた感があるものが多い。ところが今巻はスリルのある推理小説としての著者の本領がいかんなく発揮されている。つまり特別なテーマを強く設定せず、純粋に推理小説としての完成度が追い求められているという感があり迫力がある。
今回は爽香のかつての恋人明男が殺人事件の容疑者になってしまう。明男が頼れるのは爽香だけだ。そこに新たな殺人事件も加わり、スリリングな展開となる。真犯人ははたして誰なのか?という事を解明するのは実はたやすくない。やはり爽香の推理が冴え渡る。
結末は悲しい。事実だけが悲しいのではなく、事実を取り巻く背景が悲しい。
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