利休鼠のララバイ―杉原爽香、二十八歳の冬 |赤川 次郎


利休鼠のララバイ―杉原爽香、二十八歳の冬
赤川 次郎
光文社 刊
発売日 2001-09



河村夫婦の危機 2006-03-29
今巻は文章による心理描写が蜜に行われている。科学性の高い看護師向け雑誌に連載されたからかも知れないが、これまでの爽香シリーズは情景心理描写をほとんど行わず、会話のみでテンポ良く読み進めるスタイルだった。あくまで比較してだが、同シリーズのこれまでのものよりドロドロとした印象が少しある。それは、今巻がスリルや推理性よりも主に人情、しかも人間の弱さや醜い部分が重点的に描かれているからだと思う。



今巻の物語は完結していない。あの真面目な河村刑事が浮気し、夫婦共に深く悩んでいる様子が描かれたところで終了しており、成り行きは次巻に持ち越される形となっている。特に河村布子の心理に深く立ち入った描写がなされており、その健気さにも目を見張る。



推理性よりも心理描写に重点が置かれた今巻である。それはベテラン社会人の世界だ。


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